〈Sio〉

 

 横山珠夢 

 ※神奈川新聞社 第43回文芸コンクール 
現代詩部門 佳作入選作品



〈Sio〉は仮言葉。
あなたが後で考えてね。

〈Sio〉は寝る、じゃなくて練る。
〈Sio〉は来るけど、時々逃げる、
そして見失う。
そもそも〈Sio〉は待ちやしない。
〈Sio〉はいわゆる天の邪鬼。
っていうか〈Sio〉は変。
だいたい〈Sio〉は急なんだよ。
やっぱり〈Sio〉はマジメ。
〈Sio〉はほろ苦い。
ちょっとイジワル。
本当は〈Sio〉は素直なはず。
けれども〈Sio〉は誘惑する。
良く考えると〈Sio〉は只。
実は〈Sio〉は今、鑑。
〈Sio〉は罪、いや罪作り。
なぜなら〈Sio〉はうそをつく。
要するに〈Sio〉は気まぐれ。
だから〈Sio〉こそ面白い。
とうとう〈Sio〉まで裏切る。
いいえ、〈Sio〉は単なる合言葉。
しょせん〈Sio〉なんて幻。
〈Sio〉なら光より影。
なんと〈Sio〉は世界そのもの。
いつか〈Sio〉は宇宙になる。
〈Sio〉は永遠。
〈Sio〉は近くて遠いもの。
〈Sio〉は、わかっているのに、
大事にしてないもの。
ひょっとして〈Sio〉は私自身?
〈Sio〉は、素直に言えないもの。
お見通しの〈Sio〉。
それが〈Sio〉。

結局〈Sio〉って そういう奴なんだ。




 

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